インターネットで得た知識を応用する危険性とその回避方法

最近「自分で片っ端からいろいろ治療を試したが治らず、もうどうしたらいいかわからない」という患者さんが増えました。

多くの方はサプリメントの効能や、薬の副作用、リーキーガット、重金属の害など専門家並みの知識をお持ちです。

しかし、良いと思ったものを片っ端からやって行き詰ってしまったようです。

  • 自分の状態を把握せず、他人の成功体験談をまねてハマってしまった。
  • どの位の量をどの位の期間使えば効果が出てくるか分からない。
  • いつか効果が出ると信じて自分の考えた方法に固執している。

こんな人は、特にインターネットで得られた知識をそのまま試している方に多い傾向があります。今回は、インターネットで得た知識を応用する危険性とその回避方法についてお話しします。

理由その1 知識が体系化されていない

そのような人たちは大抵、多くの質問事項を紙に書いていらっしゃいます。

ネットで得られた断片情報が基礎になっており、栄養学や生化学など知識の土台がないためそれが浮いてしまっています。

ですから、疑問点が次から次へと湧いてくるのです。

「糖質制限をしたのだが具合が悪くなりました」という方の行動根拠は
「糖質制限をしたよくなった人の体験記を読んだ」とか、
「糖質制限をするとインスリンが出なくなり、低血糖を起こさないと思った」

などですが、糖質制限に向いているかどうかには個体差があります。

個体差の把握には、血液検査や糖負荷試験、コルチゾール検査など検査値を読む能力と糖質、グリコーゲンの代謝経路や、その酵素、ミトコンドリアやインスリン分泌のしくみなどの基礎知識の両方が不可欠です。

体系化されていない知識は、自分の脳のフレームワーク(考え方の枠組み)に入れるところがありませんので、大抵の場合応用が利きません。

理由その2 情報が偏っている

またそのような方たちは、視野が狭いのも特徴です。

インターネットは「検索」という言語の世界に支配されています。知ろうと思って脳の中で言語化されていることについては深く知る事が出来ますが、それ以外の情報は全く入ってきません。

そこを意識しないとどんどん視野が狭くなっていきます。

よく知られていることですが、Googleの検索結果は過去の閲覧履歴によって表示が変わります。

  • 「あなたへのおすすめ」というのは、「個人の検索履歴を勝手に分析してその結果偏った情報を提供していますよ」という意味です。
  • フェイスブックは、自分のフォローする人の意見のみが流れてくる究極に偏った情報の集まりです。
  • 「まとめサイト」は、広告を目的として企業主体で行われるビジネスの一環です。

病気の治療には幅広い視野を持って全身を見ることが絶対不可欠です。

では、どうすればいいの?

「体系化されていない知識」への対策としては、「体系化された知識」を学ぶことしかありません。結局は回り道が一番の近道です。

しかしこれはなかなか難しいので、代替案を提示します。

それは、ある分野についての「推進派」と「反対派」についての本を2,3冊ずつ読むことです。
例えば、糖質制限ならこの2冊ですね。

コツとしてはなるべく両極端の意見の本を読むことです。
両方を読み終えたあとで、はじめて偏りなく自分の立ち位置を公正に決める事が出来るからです。
はじめに意見の幅広さを持っておけば置くほど自分の立ち位置の自由度が増します。

そのように準備しておけば、ネット上で糖質制限についての意見を聞いた時にも「この人はこの位の立ち位置で語っている」ということが認識でき、頭に入ってきやすいのです。
(自分の思考のフレームワークに取り入れる事が出来ます)

本を選ぶ際にもう一つ注意する事は、巻末などに引用してある論文がなるべく多いものがよいでしょう。

医学論文は、厳しい「編集」と「校閲」と専門家による「承認」のプロセスを経て発行されており、だれでもが書き込めるネット上の意見とは信頼性が全く違います。

このような論文はたいてい英語の専門用語で書かれており、それらを直接読むと専門外の方はかなり苦労するかもしれませんので、それらをまとめて紹介してくれる書籍はかなり頼れる存在です。

論文をベースにした意見の異なる書籍を読むことで、ネット上の情報の欠点(体系的でない、偏りがある、信頼性に欠ける)を補う事が出来ます。

分子栄養学実践講座は

栄養療法の基礎(栄養素の性質、人の細胞のしくみ、検査データの解析法など)を体系的に学ぶ事が出来る数少ない講座です。
栄養療法に関する様々な論文解析を行い、それを元に構成されています。
特定のサプリメントメーカー、検査会社などのバックアップを受けておらず、企業利益に基づく講義内容の偏りがありません。

基礎というのはどんな学問でも、退屈なものになりがちです。

しかし実践講座では、毎回行う症例検討会において、実在の症例に対する実際の対策を学びながら並行して基礎を学ぶため、無味乾燥な化学式へのストーリー付けが可能であり、それが記憶への定着を助けてくれます。

最近、雑誌やインターネットにおいて、健康情報が洪水のように押し寄せるようになりました。

このような状況では、何を読むかでなく、何を読まないかという事が重要になっていますが、体型的に信頼できる基礎知識を積み重ねることで、拾うべき記事とすてるべき記事が見分けられるようになるのです。

第9期実践講座は9月からスタートします。

どんな感じなのか様子を見てみたい方は、まずプレ講座を受けてみるのも手です。

第9期分子栄養学実践講座プレ講座のご案内
臨床分子栄養医学研究会は、第9期分子栄養学実践講座(2017年10月スタート)の 開講に先立ち、プレセミナーを行います...

皆様のご参加をお待ちしております。

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