必要な検査

血液検査の解読をコンピューターで自動化できるか?

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今回は、分子栄養学を学ぶ人は誰でも一度は考えるタブーに触れたいと思います。

今回頂きましたご質問の内容は、「コンピュータで血液検査の結果を自動的に処理して、サプリメントの処方が出来ないのでしょうか?」です。

ここでいう血液検査とは、いわゆる「分子栄養学的な血液検査の見方」のことです。

摂取した栄養素は体内で酵素や補酵素として働くので、それらの量を測定すれば、どの栄養素が足りていて、どれが足りないかを推測することができるのですね。

分子栄養学の勉強で、特に血液検査の見方について勉強している方なら、だれでも一度はこのようなことを考えるのではないでしょうか?

もし、自動化したらどうなる?

私は、多いときには1日に20件、血液検査の所見を書いたり、他の方が書いた所見を添削していたりしました。

だから、診察がやっと終わり、その後、血液検査の所見を記入しなくてはならないカルテが
山積みになっているのを見たときに「自動化できないの?これ」っと思ったことが何度もあります。

ちなみに、そのようなプログラムを作ったとすると、こんな感じで一瞬で答えがでてくるでしょう。

◎◎様

総タンパクが基準値以下です。  プロテインを摂ってください。

フェリチン値が基準値以下です。 ヘム鉄を摂ってください。

GOT>>GPTです。     ビタミンB群を摂ってください。

ALPが基準値以下です。    亜鉛を摂ってください。

このように、検査数値をどこで区切るかのカットオフ値をさだめ、脱水による影響を考慮して、脱水係数をかけるなどすれば、ある程度の所見は得られると思います。

しかし、このメール講座をお読みいただいている方たちにとっては、この検査所見、この処方案が意味がない事に気づいて頂けると思います。

検査結果の背景にあるものを読みとりましょう

血液検査で足りない栄養素を推し量るのはいいのです。
ただし、すべての栄養処方は処方目的を明らかにしなくてはなりません。

その目的を決定する一番重要な因子は、患者さんの意志、考え、哲学です。

二番目に大切なのは患者さんの症状や状態です。

これらの重要な因子を無視して、「鉄が足りないから鉄を摂ってください」といわれても、それは無理ですよね。

これでは、患者さんの背景も考えず、
「血圧が高いから降圧剤を飲みなさい」
「血糖値が標準を超えたから、血糖降下剤を飲みなさい」
といっている医者と変わりありません。

手段と目的を取り違えない

日本の場合、国民皆保険制度もあります。
最低限の医療は保障されているわけです。

その中で、あえて自由診療である、栄養療法を選択する人は、確固たる意思、哲学を持っている人が殆どです。目的をしっかりもっていて、栄養療法は一つの手段にすぎません。

私は、治療は受ける人が自分で内容を決める必要があるし、治療方針を自分で決めるのに必要な知識は身につけるほうがいいと思っています。

そのように十分な知識を持ち意思表示できる患者さんの場合、治療方針を決めるのは、患者さんの「意志」であり、「哲学」です。
その次が「症状」や「状態」です。
血液検査のデータはあくまでも参考であり、一手段です。

人、状態、考え方で基準値は異なる

「たんぱく質の数値が低いからたんぱく質を摂りなさい」という人は手段と目的を取り違えています。

また、例えば、「フェリチンの値はどのくらいが最適ですか?」
ということを良く聞かれます。

血液中のフェリチン値は貯蔵鉄を表すいい指標といわれています。
これを一律に50以上がいいとか100以上がいいとか言うことは「ナンセンス」です。

目標フェリチン値は、人によっては20でもいいし、人によっては200以上を目指す場合もあります。
慢性肝炎の患者さんに対する瀉血治療の目標フェリチン値は10以下です。

つまり答えは、「本人の希望、症状、体の状態により、目指す基準値は異なる」です。

このように、症状や血液データを考慮して、本人の主張から意志を汲み取り、治療を決めていく。
これをカウンセリングといいます。

カウンセリングができるようになる事が大事

このカウンセリングというやつはコンピューターが代行しにくい典型的なものです。

今後、TPPによって貿易の自由化が進んでいくようですが、医療も例外ではありません。

すでに、アメリカ人の放射線科医師は、インターネットの発達により、インド人の医師に
レントゲンの読影という仕事を奪われています。

血圧が高いから降圧剤を出す医師は、今後淘汰されていくでしょう。
なぜなら、コンピューターの進歩により、基礎診断はコンピューターが下すようになっていくからです。

元アル・ゴア副大統領の首席スピーチライターのダニエルピンク氏は
「貴方の仕事は他の人が代行できるようなものですか?」
「貴方の仕事はコンピューターが代行できるようなものですか?」
この2つの質問に対しての答えがYESなら、貴方の給料は今後さがっていくでしょう。
と言っています。

また、話がそれましたが、つまり、結論としては、「血液所見を機械的に読むことはできるが、患者さんの利益には直接つながらない」のです。

今、医療界には、様々な因子を考慮して、総合的な診断をくだせる右脳人間が求められていると思います。

 

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