腸管不全合併肝障害にオメガ3系栄養剤が著効

短腸症候群をご存知ですか?

小腸の大量切除に伴う吸収不良の状態です。

大人なら、腸間膜動脈血栓症やクローン病、腸閉塞、子供なら、腸捻転、小腸閉鎖症、壊死性腸炎(腸が「絡まって」血が通わなくなり壊死)などが原因になります。

これらの病気で小腸の大部分を切除すると、その後はひどい下痢、脱水を起こします。
ですから、腸が回復するまで、栄養を点滴で補う必要があります。

その点滴治療中におこる様々な合併症の中でも高頻度なのが「腸管不全合併肝障害」です。

胆汁のうったいを起こし、最終的に肝不全に陥ります。
そうなると治療は肝臓と小腸の両方を移植するしかありません。

しかし、最近、この病態に対して、オメガ3系の脂肪酸点滴を行うことで、劇的な改善が見られることが報告されています。


(Puderらの報告)

黄疸を伴う肝障害を来した乳児の短腸症候群患者に、オメガ3製剤と大豆由来脂肪製剤を使用し比較を行った

オメガ3製剤使用群の死亡は42例中3例、肝移植は1例であった。

対照群での死亡は12例、肝移植は6例と有為差(p=0.005)を認めた。

オメガ3製剤使用群において必須脂肪酸の欠乏、高脂血症などは認めなかった。

Arch Surg. 45(6): 547-51, 2010.


なぜ、オメガ3脂肪酸が肝不全を防ぐのでしょうか。

短腸症候群患者には、上述の通り、回復までの間に点滴で多くの栄養を補う必要があります。

糖質、アミノ酸、脂肪、ビタミン、ミネラルなどを入れていくのですが、どうも従来の大豆油を使用している脂肪製剤に問題があるようです。

オメガ6系のアラキドン酸は炎症を惹起する脂肪酸であり、オメガ3のEPAは炎症を抑制します。

理想的なオメガ6脂肪酸:オメガ3脂肪酸の比率は2:1と言われています。

しかし、大豆油のオメガ6脂肪酸:オメガ3脂肪酸の比率は7:1ですから、長期の大豆油投与は体内をオメガ6過剰状態にします。

これによっておこる炎症が肝内胆汁うったいの大きな原因と見られています。

(オメガ6脂肪酸摂取で脂肪肝、脂肪性肝炎を起こす可能性があることなども複合原因とされています。)

栄養療法を理解し、実践するためには、

・オメガ3系脂肪酸が炎症を抑制するメカニズム

・オメガ3系脂肪酸製剤が病態の改善に有効というエビデンス

この両方が必要です。

通常の医療と同じく栄養療法も「効果のメカニズム」を理解する必要があるし、「治療のエビデンス」をきちんと示す必要があります。

私は、昔から、栄養療法についてのエビデンスについてよく聞かれます。

「この治療の根拠はありますか?」

「このサプリメントを2000mg摂取する根拠はなんですか?」

そこで、私が昔から利用しているのが、ジャック・チャレム氏の「ニュートリション・レポーター」です。

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私が栄養療法関連の英語論文で実際に読んでいるのは、限られた分野のみです。

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ニュートリション・レポーターは、パーソナル・栄養コーチであるジャック・チャレム氏による、分子栄養学に基づいた栄養学に関する研究論文を、特定製品の宣伝広告とは一切関係なしに、中立的な立場で発信するジャーナルです。

私はオメガ3脂肪製剤のことも「ニュートリション・レポーター」で知りました。

是非、サンプルを読んでみてください。

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サプリを効かせる方法論 その20

・やはり、エビデンスは大切です

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