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【重要ニュースまとめ(2/25~3/3)】FATFがガイダンスを修正、トラベルルールの適用とステーブルコイン規制へ本格化。BraveはDeFiへの注力を発表 | 仮想通貨コラム | 仮想通貨の比較・ランキングならHEDGE GUIDE

今回は、2月25日〜3月3日の暗号資産・ブロックチェーン業界の重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. FATFが暗号資産ガイダンスを修正
  2. BraveがDeFiへの注力を発表
  3. Mirrorがアカウント発行のレースを開催
  4. まとめ、著者の考察

今週(2月25日〜3月3日)の暗号資産・ブロックチェーン業界は、FATFの暗号資産に関するガイダンス修正やBraveのロードマップ2.0などが話題になりました。NFT市場も引き続きの盛り上がりを見せ、Web3ブログプラットフォームのMirrorがユニークな試みを行なっています。本記事では、1週間の重要ニュースを解説と共におさらいしていきます。

FATFが暗号資産ガイダンスを修正

世界金融の安定化を支える国際団体FATFが、現在施行されている暗号資産に関するガイダンスの修正を行うことを発表しました。今年2回目となる本会議が開催され、3月に公開協議を行うためにガイダンスの修正が事前に公表された格好です。

今回の会合は、新型コロナウイルスによる経済危機を利用した悪質な金融犯罪が増加傾向にあることを踏まえ、AML/CFTを強化するために開催されました。特にデジタル化が重要なテーマになると言及されており、暗号資産に対する勧告の見直しが決定しています。

暗号資産に対する具体的なガイダンスの修正は次の通りです。

  1. ステーブルコインに対するFATF基準の適用
  2. 公的部門および民間団体がトラベルルールに対応するための具体的な方法
  3. P2P取引に存在するリスクへの対応

特に1と2については今後の市場に大きな影響を与える可能性があるため、ここで詳しく見ていきましょう。

そもそもFATFとは、主にAML/CFTを推進する国際金融規制団体であり、世界各国に対して絶大な影響力を有しています。暗号資産に限らずあらゆる金融資産の取り締まりを行なっており、FATFからの勧告には基本的に反することができません。

2017年4月に、日本が世界で初めて暗号資産に関する法律を制定したのも、背景にはFATFからの取引所に対するライセンス制の適用を指示する勧告があったからです。

そんなFATFが、現在最も関心を高めているのがステーブルコインです。ステーブルコインに関する規制は、現状どの国でも明確に定義されておらず、各国を統一して取り締まるFATFがこの役割を担うことが期待されています。

日本でも、現行法ではステーブルコインを暗号資産として定義していません。そのため、暗号資産取引所がステーブルコインを上場できないのです。これだけ暗号資産市場が普及している国において、ステーブルコインが1つも上場していないのは異例の事態だと言えるでしょう。

そのため、FATFがステーブルコインに対する規制を定義することは日本にとっても重要な意味を持つのです。ステーブルコイン規制は、各国で取り組みが進むCBDCにとっても重要なテーマだと言えます。

なお厳密には、USDTのような法定通貨を担保に発行されるステーブルコインが暗号資産として認められておらず、DAIのような暗号資産を担保に発行されるステーブルコインは取り扱えないこともありません。

修正されるガイダンスの2つ目にあげられたトラベルルールも引き続き注目のトピックです。トラベルルールは、FATFが各国の暗号資産取引所に対して勧告している制度であり、暗号資産の取引時にユーザーの個人情報を記録しておくことを指示するものです。

これは国内取引所間の取引に限らず、海外取引所との取引にも適用されます。そのため、対応コストが肥大化してしまい小規模な取引所には実現が難しいものになっているのです。

このような現状を受けて、トラベルルールに関しては今回特に中小規模の事業者でも対応できるようにするための修正が行われるとされています。

2019年に制定され2020年の施行が予定されていたトラベルルールですが、2021年になってもまだまだ実現の見通しは立っていません。とはいえ、FATF勧告は絶大な影響力を持つためいずれ施行されることは既定路線となっており、どのような形で決着するのかには注目しておく必要があります。

日本国内でも取引所は20社以上存在していますが、個人的には、このうちの大半がトラベルルールへの対応を実現できずに経営破綻する可能性があるとみています。

【参照記事】Outcomes FATF Plenary, 22, 24 and 25 February 2021
【参照記事】FATFがトラベルルール含む暗号資産ガイダンスを修正、ステーブルコインに関する項目も

BraveがDeFiへの注力を発表

次世代ブラウザBraveがロードマップ2.0を発表し、DeFiへ注力する方針を明らかにしました。具体的には、入り口となるウォレット機能の刷新と新たにDEXの実装を予定しています。

今回は、Braveのロードマップ2.0の背景にあるウォレットと取引所のシェアの奪い合いについて考察してみます。暗号資産業界のほとんどのプレイヤーは、「ウォレット(カストディ)」「取引所(DEX含む)」「プロトコル」に分類できます。

Braveは元々あまり暗号資産業界に関心がなく、プライバシー性能に強みを持ったWebブラウザとしてGoogle ChromeやSafari、FireFoxといったWebブラウザ市場で戦いを挑んでいました。

方針を変えたであろうきっかけとなったのが、2019年頃から続くDeFi市場の盛り上がりです。Webブラウザとしてのポジションは維持したまま、短期的にはChromeなどの一般的なユーザー層をターゲットにせず、DeFiユーザーなどをターゲットにしたWeb3ブラウザに切り替えたのです。

それ以降のBraveは、暗号資産業界らしい取り組みを次々と進めてきています。具体的には、ネイティブトークンであるBATの使い道を拡大し、管理するためのウォレット機能を強化しました。

次世代通信プロトコルであるIPFSへの対応も完了し、IPFSによってホストされているWebサイトにアクセスできる唯一の主要ブラウザとなっています。また、Origin Protocolと提携することでNFTをブラウザから直接購入できるようサポートを開始した点も、Web3ブラウザを目指す上で良い取り組みだと言えるでしょう。

そんなBraveが今回、満を辞してDEXの実装を発表しました。入り口としてのブラウザおよび内蔵するウォレット機能を強化できて来たため、出口となる取引機能まで一気通貫で提供するのがBraveの狙いです。

この戦略は以前より複数の事業者が行なってきたもので、ウォレット大手のMetaMaskがトークンの取引機能を開始したり、取引所大手のCoinbaseがウォレット機能を提供したりしています。

ウォレット単体では長らくマネタイズすることができていなかったものの、暗号資産業界唯一のキャッシュポイントである取引機能を実装することにより、ウォレットが取引所のシェアを奪いつつあるのです。

ここで重要なのは、どちらの戦略(取引所→ウォレット or ウォレット→取引所)がDeFiと相性が良いかということです。DeFiは、基本的に全てがスマートコントラクトによって実行され、特定の管理者が存在しません。そのため、利用者も匿名性であることが基本となっています。

匿名性という観点はDeFiへ事業を拡大させる上で非常に重要な意味を持ちます。例えば、取引所がウォレット機能を提供し、DeFiの各サービスに接続することは困難だと言えるでしょう。なぜなら、先述のFATF勧告により取引所には本人確認(個人情報の記録)が義務付けられており、匿名性を担保することができないからです。

これに対して、ウォレットが取引所機能を提供することは理にかなっています。ウォレットが実装する取引所はDEXであることがほとんどであり、DEXはDeFiの一部だからです。つまり、DEXが搭載されたウォレットさえあれば基本的に全てのDeFiサービスを利用することが可能となります。

Braveはブラウザをインターフェースとして、先にウォレットを強化し後からDEXを追加することでDeFi市場への拡大を狙っていると言えそうです。これは、DeFiを理解した正しい戦略だと言えるでしょう。

【参照記事】BAT Roadmap 2.0
【参照記事】次世代WebブラウザBraveがロードマップ2.0を公開、ウォレットとDEXを整備しDeFiへ注力

Mirrorがアカウント発行のレースを開催

書いた文章がNFT化され、コピー不可能な状態で公開されるブログプラットフォームのMirrorが、アカウント作成権限を獲得するためのレースを開催しました。Mirrorでアカウントを作成したい人は周囲の人に投票を依頼し、上位10名にのみアカウントの作成権限が与えられます。レースには、全世界で約550名の人が参加していました。

Mirrorは、MediumやSubstackのようなブログプラットフォームです。Mirrorで書いたブログはNFTによって管理され、その希少性が担保される点が特徴としてあげられます。例えば、特定のコミュニティでのみMirrorで書いたブログを公開するよう設定したり、ブログに紐付けられたNFTをマーケットプレイスで売りに出すことも可能です。

デジタル技術によってコンテンツの複製や共有が容易になったため、このような記事を書くことも気軽にできるようになりました(コピー&ペーストやクラウドへのバックアップなど…)。これをWeb2.0といい、現在我々が生活している時代を意味します。

Web3.0の世界では、デジタルコンテンツに希少性が帯びるようになります。その1つがMirrorのようなNFTを使ったサービスです。記事やブログであれば、これまではいかに多くの人に読んでもらうかを重視し、時にはSEO対策記事やインフルエンサーマーケティングといったものに頼ってきました。

Web3.0では量より質が重要とあり、少数の人へのリーチだとしてもその人たちにどれだけ大きな価値を提供できるかが鍵となります。デジタルコンテンツの複製や共有のハードルが高くなった時代から逆算することで、今何を仕込んでおくべきかの理解を深めることができるでしょう。

【参照記事】$WRITE RACE — Mirror

まとめ、著者の考察

今週はDeFiに関する目立った動きが多い1週間となりました。シカゴを拠点に活動するDeFi Allianceがファンドの組成を発表し、「NFT」「アジア圏」「教育プログラム」に注力する方針を示す中、同日には日本からもJapan DeFi Allianceが発足しています。

FATFからも、DeFi市場の盛り上がりを無視できなくなってきた様子を感じ取ることができます。ステーブルコイン規制はそのための第一歩と言えるでしょう。

金融市場で起きている変化ということもありそのインパクトは大きく、今後も様々なプレイヤーがDeFi市場に参入してくることが予想されます。その中で、確かな知識を持って先を見通すことができるかどうか、日本が世界に遅れを取らないためにいよいよ重要な局面に差し掛かってきました。

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田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。

田上智裕


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