栄養療法と食事

究極の食事とは何か?

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臨床分子栄養医学研究会では、定期的に分子栄養学実践講座の有料版を開催しています。

分子栄養学を中心にした栄養学、疾患の根本原因を見つけ出す方法などをテーマにして、みんなでディスカッションを行う会です。

多くの方が自分の検査結果を持ち寄って、意見をぶつけ合うので、かなり白熱した会になっています。

その中で、私は定期的にテキストを作って受講者の方にお送りしています。

今回、食事をどうするべきかについて、「食事編」を刊行しました。

内容は、主に分子栄養学とその対極?にあるナチュラルハイジーンの考え方を比較検討するものです。

分子栄養学では「タンパク質摂取に重点」がおかれ、糖質はどちらかというと制限する方向です。

ナチュラルは「タンパク質の過剰摂取に注意せよ」という考え方です。

お読みいただいた受講者の方からこのようなお便りをいただきました。


今月の講座テキストに『食事編』がありますが、まさに私はナチュラルハイジーンとローフードに興味本位から一年ほど実行し、結果関節炎を発症しました。(家族は普通食でした)
出産と授乳で栄養を根こそぎ失った身体であったにもかかわらず、当時無知だった私は動物性タンパク質を極力減らし、植物性タンパク質(大豆製品)と野菜、果物、分つき米を食事としていました。

朝はグリーンスムージーと果物のみ。
起床して空腹なところへガンガン糖質で血糖値を上げていたというわけです。
肉魚は週に数回口にするだけで、子供の卵アレルギーを心配して自分も卵を食べない菜食生活でした。

そうこうして1年が経とうとした頃、突然右膝関節がパキパキ鳴り出し、水が溜まり、激痛で動くのも辛いという状態へ。
総コレステロールは低く、中性脂肪は上がりました。
当然ですが。

かかりつけの病院で検査の結果異常なし。
医師からは簡単な膝のリハビリとサポーターの装着を勧められただけ。
外出もしたくないほどの激痛に納得がいかず、あれこれネット上を彷徨っていたところ、ローカーボ&高タンパク食を提唱している医療関係者の方と出会いました。

即日食生活を改め、家から甘い物、果物、料理で使っていたソース類やチキンスープ等の出汁の素、酒、みりんなどすべて廃棄。
糖質を徐々に減らすのではなく断糖したことで、甘い物依存から抜け出すのは比較的楽でした。

ローカーボ&高タンパク食と同時に週1回カイロプラクティックで血のめぐりを良くしていただいたところ、数ヶ月でみるみる激痛が緩和。
炎症の頻度も徐々に開いていきました。
自己流の糖質制限&高タンパク食を半年続けた後、栄養療法の専門医を受診し、現在も栄養療法と食事療法を継続しています。

当時ナチュラルハイジーンやローフードの書籍も色々と読みあさりました。
皮肉にもその頃身につけた調理法や食材の組み合わせはアレンジして一部活用できたりします。
果物やアガベなどの糖類、ココアなどのカフェインなどを省いて、低糖質で高タンパクな食材と合わせてアレンジする感じです。

当時は、便通も体調も良くなると期待して始めたナチュラルハイジーンとローフードでしたが、毎日あった便通はなくなり、体調が良くなるどころか感情の起伏が激しくなり、とにかくお腹が空いて甘い物が欲しくなる。

ある日鏡を見上げると、そこには一気に老けた自分がいました。
皺、たるみ、頬はこけ、生気を吸い取られたような顔にショックを受けました。

分子栄養学を知れば、至極当然な結果です。

ナチュラルハイジーンやローフードを全面否定するつもりはありません。
ただ、いかなる食事療法であってもそれだけにこだわるのは高リスクであること、自分の消化力や糖代謝、タンパク質をはじめとする栄養素の吸収力などを知らずして食事療法に傾倒することはナンセンスであると身を持って知りました。

この2年間、低糖質&高タンパク食を継続してきましたが、本講座を受講したことにより現在の食生活を今一度見直す余地があると気付かされました。
正直なところ受講を決めた時は、私にとって、我が家にとってバランスの良い食事というものがなんなのか、次第にわからなくなりそうになっていました。

今も試行錯誤しています。

糖質ばかりに目がいき、食物繊維やその他の栄養素を見ずに食材を選んでいました。
いまは葉野菜ばかりでなく、ごぼうなどの根菜も少しずつ料理に取り入れている状況です。

栄養が偏らないように、また同じ食材を続けて摂ることでまねく食物アレルギーを考慮して、食材はストイックにならない程度に回しています。
しかし、今の食生活も本当のところどこまで適しているのか…。

宮澤先生の『食事編』に目をとおした時、一方だけでなくその対極にある考え方も知った上で検討する先生のお考えに感銘を受け、この経緯を話さずにはいられなくなりました。


いかがでしたか?

この方は低糖質、高タンパクの食事にすることで、成功しています。

非常に素晴らしいのですが、ただ問題があって、それは 「なぜ、自分の調子が良くなったかがわからない」ことです。

「どのような食事がよいのか?」

非常に多くの方からこの質問をいただいています。

永遠のテーマのようなこの質問ですが、私の答えはやはり決まっています。

「適切な問診と検査をしないとわからない」です。

分子栄養学の食事から、ナチュラルハイジーンの食事法にして調子がよくなった方もいます。

その方は、検査をしたら、

・ 卵、乳製品などに対する過剰なアレルギー

・ ヘリコバクタピロリ菌の感染

・ 消化酵素の低下

がみられました。

たとえば、

タンパク質の初期消化は胃で行われます。
タンパク質の消化酵素ペプシンは胃酸により活性化されます。
ヘリコバクターピロリ感染は胃酸分泌量を低下させます。

この方は、卵、乳製品を中止し、タンパク摂取量を減らし、消化酵素を摂取するようにしたら、腹部のぼう満感、関節痛が消失しました。

大事なことは、「今の食事の何が病気を引き起こしていているのかを検証すること」です。

つまり、根本原因を知ることですね!

食事の場合、もう一つ大事なのは「俯瞰力を養う」ことです

最近、ずっと同じことを言っていますが、大切だからもう一度いいます。

「反対側から見てみる」ということでです。

例えば、分子栄養学の考え方に固執すると

「 なんでベジタリアンの人はタンパク不足にならないのか? 」

という質問に答えることができません。

なるべく対極の話を理解することです。
対極であればあるほど、考え方の幅が広がり、物事を俯瞰視する力が強まるからです。

タンパク質は摂取しなくてはならないのだが、摂取の仕方、し過ぎによっては体に害を及ぼす。
この考えを理解することで、タンパク質の使い方が飛躍的に向上します。

「どちらが正しいか」ではなく、多くのバラエティに富んだ考え方を学んで、そこから自分の考えを導き出せるようになるになってくださいね!

次回は、糖尿病に対する究極の食事法との評価もある「糖質制限食」について、お話しします。

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