基礎講座

疲労系疾患への治療例

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疲労系疾患に含まれる疾患

慢性疲労症候群
副腎疲労症候群
甲状腺機能低下症
など

27歳女性 適応障害

心療内科通院中
10代の頃より低血圧・低血糖と言われる。
幼少期よりあまり運動には縁がなく過ごす。

・朝が起きられない
・寝つきが悪い
・いやいらしやすい
・PMS(月経前症候群)が強い
・甘いものの渇望が強い

現在まで内科、婦人科、心療内科、脳外科をめぐり各種検査するも原因不明。
自分の体調不良の原因を知りたいとのことで来院。

疲労系疾患の特徴は「つかれやすい」という症状です。

私たちの体の細胞内ではミトコンドリアが働いていますが、正常に働かせるために必要な栄養素が足りていない人が多く、それがいわゆる「疲労」の原因となっています。

現代の薬はほとんどが代謝の阻害薬で、代謝を亢進させるものはほとんどありません。
それゆえ、疲労に対しては、一部の疾患を除きうまい方法がなく、栄養療法のよい適応です。

疲労を起こす疾患は、みんなミトコンドリア機能低下症だと言えます。

それをわかりやすく説明したのが、つかれやすい.comです。
ご参考にみてみてください。

ミトコンドリア機能改善のアプローチ

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疲労系疾患群を治療するためには、ミトコンドリア機能改善アプローチが必要です。

ミトコンドリアは、細胞内にあるエネルギー産生器官です。

ミトコンドリアがエネルギーを作る経路は2つありますが、簡単に説明すると、

・TCA回路は、有機酸を酵素によって変換する過程でエネルギーを作る反応
・電子伝達系は、酵素によって電子が移動する過程でエネルギーを作る反応
となります。

つまり、ミトコンドリアでエネルギーが作れないのは、酵素反応がうまくいっていないからにほかなりません。

だから、ミトコドリア機能改善治療は、まず酵素反応を評価することから始まります。
酵素反応が低下している原因を突き止めるのです。

酵素反応がうまくいかない原因

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酵素反応が落ちる原因は3つあります。

・補酵素(ビタミン・ミネラル)の量が足りない

酵素と補酵素の親和性が低いために起きます。

体内の酵素には、肝臓での代謝酵素のように、補酵素の働きを借りないと働けないものが多くあります。

その時に酵素と補酵素の親和性が低いと、補酵素であるビタミン・ミネラルを余計に使わないと反応が進みにくくなります。

詳しくは個体差を考えるをみてください。

・酵素(タンパク質)代謝が悪い
様々な原因があります

・酵素反応を邪魔する何かがある
多いのは活性酸素、化学物質、重金属などです。

酵素活性を知る方法

酵素反応がうまく起きているかどうかを確かめるのには、血液検査が最適です。

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例えば、健康診断で測定するGOT,GPTなどの血液検査の単位はユニット(U)です。

これは、酵素活性(触媒活性)の単位です。
つまり、この数値から体内で酵素がどのくらい働いているかを推定することができます。
検査から、この患者さんは、特に補酵素ミネラルの活性が落ちていることがわかりました。
酵素の代謝はそれほど問題ないようです。

私が栄養療法を始めた当初は、以下のような枠組みを使って治療の組み立てをしていました。

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上述したように、「疲労系」の疾患に対して、最も簡便にミトコンドリアの機能を評価できる検査は、血液検査です。

だから、私は血液検査の結果をもとにして、足りないミトコンドリア栄養素をサプリメントで補うという治療スタイルをとっていたのです。

しかし、今考えると治療効果はいま一つだった気がします。

理由は酵素反応を高める事ばかり考えていて、酵素反応を邪魔する要因を考慮していなかったからです。

酵素反応を邪魔する要因の一つ、重金属問題を検討するには毛髪ミネラル検査が最も簡便です。

また、それと同様に、細胞に酵素、補酵素がきちんと届いているかも非常に重要です。
サプリメントがうまく届かない第一の原因は、腸内環境の乱れです。

だから、「疲労系」疾患に対する考え方は、このようになるべきなのです。

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重金属の害

初診時に行った毛髪検査では、体内に水銀がたまっていることが示唆されました。

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水銀は、酵素反応をことごとく邪魔する性質をもった重金属です。
この水銀の蓄積もミトコンドリアの酵素反応を邪魔して「つかれやすい」症状を作り出していると考えられます。

治療方針

以上の事から、この患者さんの「つかれやすい」原因は、
・ミトコンドリアの働きが低下し、酵素活性が落ちていること
・酵素活性が落ちている原因は、ミネラルが足りないこと、水銀がたまっていること
だと判明しました。
治療は、「水銀を除去」し、「ミネラルを補給する」ことになります。

この方は、治療開始後3か月で、

・朝が起きられる
・倦怠感消失
・心療内科通院はやめた
・薬を中止できた
・毎日家を出られるようになった

というところまで改善しました。

フレームワークからみた思考過程

もう一度思考過程をフレームワークで見てみましょう。

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このように考え方のフレームワークを作ることで、

「○○の病態の治療のためには、○○と××の治療アプローチが有用だろう。
その治療を行うためには、▽▽と××のテクニックが必要だ。
その診断と治療根拠は、○○の基礎知識によって、裏付けることができる」

と考えをまとめていくことができます。

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